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大学との共同研究――「一服のお茶」がもたらすウェルビーイング

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経緯

福寿園は2022年9月より関西大学様と共同で研究に取組み、社会的・文化的視点でのお茶の意義を解明、発信しています。

お茶は単なる飲み物にとどまらず、人と人をつなぐ役割を担う大切な文化です。

お茶文化の発祥地・京都で創業した福寿園は、お茶の製造・販売のみならず、お茶にまつわる文化的体験を提供して参りました。

心をこめてお茶を淹れる(点てる)、感謝していただく。
こうした「お茶を一服どうぞ」という心の交流がウェルビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態)をどのように促すのか。

福寿園は心理面への影響という視点から、伝統あるお茶文化の価値を再発見することを目指します。
お茶という日常生活に深く根付く文化に秘められた心理的効能を科学的に解明、現代社会におけるウェルビーイングの向上に貢献する新たな知見を提供します。

専門的な知見から検証を深めるため、関西大学 木戸彩恵教授と共同で研究しています。

木戸教授のご専門は文化心理学、文化との関わりが個人の精神をどう形作るかに迫る分野です。
産学連携、専門的な分析によってお茶文化の可能性を明らかにします。

研究活動

第1期
お茶体験を受けた方の感想文の分析
(テキストマイニング)

2022年9月~2023年3月

小学校で実施したお茶体験教室の感想文から、お茶を淹れて飲む体験をどう認識したのか調査しました。

自由記述の感想文から、集まったテキストを単語やフレーズに分解し、出現頻度や時系列、傾向を分析しました。

感想文で見られた語句を、属性が近いもの同士でまとめると5つのクラスターに分かれました。

  • ・お茶の美味しさ
  • ・お茶を淹れることの楽しさ
  • ・お茶に関する新たな知識の伝達
  • ・お茶の味の変化
  • ・お茶の味以外の発見

また、教師の視点では知識を得ることが重視される一方、生徒の視点では味覚の体験が重視されることが示されました。

体験の共有を重視した伝え方によってお茶文化への学習意欲が高まり、将来的な文化継承につながると期待されます。

本研究は日本心理学会第87回大会にてポスター発表いたしました。

日本心理学会第87回大会ポスター発表

また茶業研究報告 第137号(2024年7月刊行)に掲載されました。
社会学のアプローチに基づく研究が本誌で掲載された、初の論文です。

茶業研究報告

第2期
緑茶の飲用がコミュニケーション中の
感情状態に及ぼす影響

2023年4月~2024年3月

一対一でコミュニケーションを行ううえで、緑茶を飲むひとときがあることで相手への印象が良いものになるかアンケート調査で検証しました。

大学生を対象に、初対面同士、一対一で10分間の会話を続けます。
会話の中休憩で緑茶を飲む条件、水を飲む条件、何も飲まない条件を設定、この3つの条件で、会話の前後で相手への印象がどう変わったか比較しました。

回答結果から、それぞれの感情状態の相関を検討したところ、緑茶条件のみポジティブな感情について継時的な変化が見られました。
緑茶を飲むとのんびりした気持ちといとおしい気持ちの関連が強くなり、リラックスした状態のコミュニケーションを促すと考えられます。

本研究は日本心理学会第88回大会にてポスター発表いたしました。

日本心理学会第88回大会ポスター発表

第3期
お茶の淹れ方とコミュニケーションについて

2024年4月~2025年3月

お茶を習慣として取り入れ、継続的に経験を重ねることで心理面にどのような影響をもたらすかアンケート調査を実施しました。

実家通いの大学生を対象に、緑茶の淹れ方をレクチャーしたあと、家族とお茶を飲む習慣を3週間続けました。
3週間後、家族とお茶を飲む習慣を続けてどう感じたか、家族内のコミュニケーションはどうだったか、インタビュー形式で答えていただきました。

結果、家族とお茶を飲んだ期間の前後で、お茶を飲むときに感じられる生活の質(生活の快適さ、満足度)が改善されていました。

さらに詳しく分析したところ、生活の質はレクチャーを受ける前よりも、受けた後の方が高くなり、さらに3週間続けることでより高まることが明らかとなりました。

また、調査後にはお茶を飲むときの要素として「人・コミュニケーション」と「環境や状況」がより重要視されるようになりました。

お茶を飲む習慣を通じ、おいしいお茶によって楽しい会話のシチュエーションが整えられたといえます。
さらに、お茶の時間を楽しむには、人とのコミュニケーションや環境・状況が欠かせない、ということに気づき、ひいては家族との交流の質が向上、ウェルビーイングにつながる可能性が考えられます。

日本心理学会第89回大会ポスター発表

まとめ

ここまでの研究活動で、文化としてのお茶について明らかになりつつあることは以下の通りです。

  • ・「美味しさ+行為」が同時に働く「体験型ウェルビーイング」の源になる
  • ・非言語コミュニケーションを含め、対話を豊かにする
  • ・場に応じて様々な応用ができ、日本文化の継承につながる

伝統あるお茶文化はウェルビーイングに大きく貢献しており、未来においてより一層重大な役割を担う可能性があります。

今後もお茶文化の可能性について研究を進め、さらにウェルビーイング向上を支えるコンテンツ・サービスを展開、新しい文化的体験の提供を目指します。